獣医師長を務めながら、二次診療施設と大学院を行き来し更なるスキルアップを目指す。

森 拓郎獣医師

院長による、率先した雑巾の拭き掃除

横浜出身ということもあり、就職は神奈川もしくは東京で考えていました。見学の時に重視したのは、スタッフ全体の雰囲気や働いているスタッフがどのような気持ちで働けているかということです。今ほど人数はいませんでしたが、当時からアットホームな雰囲気があり、スタッフが楽しそうに働き全体がチームとして機能していているように感じました。仕事の最後の掃除の時に、堀先生が率先して雑巾で拭き掃除をしていたのも印象的で、イメージしていた院長像と異なりこの病院はきっと良い病院だと就職を決める要因となりました。
当時から腫瘍と整形では専門的な治療をしており、一つの病院で両方の勉強が出来る部分も就職を決めた理由の一つです。縁もあると思っていたこと、結局は就職しないとわからないと思っていたので、複数の見学はしませんでしたが、結果として長く働いているので良かったと思っています

入社5年目。日本大学で循環器科を専門的に学び始める

就職して5年目の4月から日本大学の循環器科に通い始めました。働きながら勉強する中で、心臓の超音波検査も出来るようになりたいと思い練習し始めたことをきっかけに、診察、治療にも興味が湧き循環器に興味を持ちました。獣医の雑誌や学会などから勉強していましたが、専門的に循環器科のある施設で知識を持った先生方と相談出来る環境を求めるようになりました。
動物の心臓治療は、内科治療が一般的で治すのではなく維持していく事が目的になりますが、日本大学では、当時から動物の心臓外科を行なっていました。動物を人工心肺に繋ぎ開心術を行い無事生還している様子を見学し、この施設のチームの一員になれるかもしれない事にワクワクしました。運良く募集していたこともありチームに加わることができました。手術内容や成功率など世界トップの技術を持ったチームで、徐々に自分の出来ることも増えました。大学の拘束時間は決して短くなく、週2日の休みが1日になることは大変でしたが、慣れてしまうと週1休みのリズムになりました。

大学院とJASMINどうぶつ循環器病センターで、臨床と研究を回す

現在はJASMINEどうぶつ循環器病センターにて、循環器系の専門手術に週に1回参加しています。こちらは主に循環器疾患、特に心臓外科に特化した二次診療施設で、腎疾患や呼吸器疾患も診ています。何かカリキュラムに乗っ取って勉強しているというよりはオペメンバーとして力を貸しており、そこで学んだ知識や経験を辻堂犬猫病院に還元できるようにしています。
また、臨床だけではなく研究にも参加し、発表や研究したことを形にする意味も含めて大学院にも所属しています。大学院もうまく活用しながら研究発表や論文発表を行い、結果として獣医学博士を取ることを目指しています。

獣医師長として経営者とスタッフのパイプ役を務める

獣医師長は、経営者3人と勤務医の獣医師とのパイプ役であり、獣医師のまとめ役です。スタッフの増員により、院内コンセンサス(業務面とメンタル面ともに)をとるのが難しくなってきている状況を改善することが私の役割です。スタッフの要望を汲み取り経営陣へ伝えること、経営陣の要望や指示をスタッフへ伝えること、管理職の相談を経営陣へ伝えることなど、自分の立ち位置でしかできないことを行います。
現在課題に感じていることは院内での情報共有です。対策としてアプリの導入や管理職の設置、院内マニュアルの作成や担当制の導入などで業務面での情報共有や効率化を行いました。情報の共有により、業務面では症例に対しても仕事の質が上がり効率化もされていくと思います。教育面では仕事の能率、効率の底上げができると思っています。また、労働環境の改善も課題の1つです。業務の効率化をすることにより環境改善と人材確保につながればと考えています。また確保したスタッフがより長く続けてくれる事も労働環境改善が重要だと思っています。

多様化する社会ニーズ。共に学び、共に成長する

獣医療では、求められるニーズは多様化しています。特に症例が集まる病院ほどその傾向にあると思います。当院においても私たちスタッフはまだまだ成長していかなければなりません。我々と一緒にチーム医療に加わり、共に学び、共に成長していきましょう。