柴田 千晴獣医師
就職を希望したきっかけは、病院見学の際に伺った新卒獣医師に対する教育方針に深く共感したことです。当院では、入社後すぐに診察や手術を任されるのではなく、先輩獣医師の診療補助を通じて学ぶ研修期間が設けられています。もちろん、早く現場に立ちたいという気持ちはありますが、飼い主様にとっては新卒であっても10年以上のベテランであっても「獣医師」であることに変わりはなく、大切な命を預けてくださっています。そうした中で、「新卒だから」という理由での失敗は許されないと思います。そのため、経験豊富な先輩方の治療の進め方や、動物の反応を実際に見て学ぶ時間をいただける環境は、動物にとっても、獣医師にとっても非常に優しい、理想的な環境だと感じました。また、当院には腫瘍、循環器、整形外科など、さまざまな専門分野に精通した獣医師が在籍しており、診察に出るようになってからも治療方針に悩んだ際にすぐに相談できる体制が整っています。こうした学び続けられる環境も、志望する大きな決め手となりました。
当院の魅力の一つは、大学病院や専門病院で研鑽を積んだ獣医師が多く在籍し、それぞれの得意分野を活かしたチーム医療を提供している点です。これは飼い主様にとって安心感があるだけでなく、働く獣医師にとっても非常に魅力的な環境だと感じています。近年では動物の高齢化が進み、それに伴って動物を取り巻く病態も複雑化しています。そうした中で、単一の病態だけを治療しても、動物が抱える問題を十分に解決できないケースにしばしば直面します。こうした状況に対応するために、複数の分野に精通した獣医師がそれぞれの専門性を活かして治療方針を提案し合うことで、治療の選択肢が大きく広がっていると感じています。また、患者ごとに獣医師同士で意見を交換する機会が設けられているため、一人で悩んで立ち止まってしまうようなことが少なく、新人獣医師にとっても大変心強い環境です。
私が理想とする獣医師像は、どれだけ経験を積んでも驕ることなく、常に技術と知識の向上に努め、動物たちに対して最大限の医療を提供できる獣医師です。獣医療は日々進歩しており、学ぶことをやめた瞬間に取り残されてしまいます。信頼して通ってくださっている飼い主様に対し、「他の獣医師や病院であれば提案できた治療が、自分の勉強不足のために提案できなかった」という状況は、決してあってはならないと考えています。このような思いから、昨年度より一般診療と並行して大学病院の研修医としての勉強を始めました。現在は大学病院の循環器・呼吸器科にて研修中です。循環器や呼吸器は命に直結する重要な器官であり、これらに疾患を抱える動物や、そのご家族が抱える苦悩は計り知れません。少しでも動物の苦痛や飼い主様の不安を和らげることができるよう、今後も知識と技術の研鑽を続けてまいります。
私自身もそうでしたが、新卒の段階で「理想とする獣医師像」が明確に定まっている方は、決して多くないと思います。まだはっきりとした将来像が見えていない方にこそ、当院での経験は大きな意味を持つはずです。当院には、各分野のスペシャリストとして活躍する先輩や、総合診療科でジェネラリストとして幅広く診療に携わっている先輩が在籍しており、彼らの姿を間近で見ることで、自分自身が目指すべき獣医師像を少しずつ明確にしていくことができます。臨床医として活躍したいという強い意欲を持った方と、互いに刺激し合いながら成長していけたらと思っております。少しでもご興味があれば、ぜひ一度実習にお越しください。